医院開業にいくらかかる?医院の規模や診療科目別に見た必要資金

開業にはいくら必要?医院の規模別に見る必要資金

医師が医院を開業するためには、非常に多くの費用が必要となります。
それが一体どれほどかかるのか、あらかじめ知っておくことは独立する上で非常に重要なこととなるでしょう。

・診療科目や診療分野
・診療内容や診療項目
・地域やエリアなどの立地
・医療施設の規模

開業にいくらの資金が必要になるのかは、おおよそこの4つの要素によって決定されます。
まずは一番下の、医療施設の規模について考えてみましょう。

30坪から40坪ほどのスペースで開業できる分野もいくつかありますが、この程度の規模であれば、2,000万円から2,500万円程度で内装を整えることが可能でしょう。
それよりも小さな規模、例えば皮膚科などは大掛かりな治療を行わないのであれば20坪台で開院が可能であり、その費用は1,700万円や1,800万円程度で内装が完了できるはず。
手術等を行う分野では60坪から70坪ほど必要になりますが、この場合は内装費に3,000万円前後かかり、より高度な手術を行うのであれば、内装だけで5,000万円以上かかるでしょう。

これに、設備が2,000万円から3,000万円ほどかかるケースが多く、さらには土地の取得代や賃貸料、その他費用などを加えると、5,000万円から7,000万円ほどは最低でも必要になってきます。
規模が大きければ大きいほど、開業資金が必要になることは間違いありません。

診療科目別に見る必要資金

次に考えたいのが、診療科目ごとに必要になる開業資金です。
これも診療内容や項目、立地によって大きく異なりますが、大体の設備などから割り出してみましょう。

内科ですが、これは小さな規模でも開業が可能であるものの、検査などを十分にするための設備が必要となり、それに2,000万円から3,000万円ほど必要になります。
土地や建物などと合わせると、5,000万円から6,000万円ほどとなるでしょうか。
整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科なども、内科と変わらない金額を用意する必要が出てくるでしょう。

比較的安く済むのが、皮膚科です。設備は500万円程度からでも開業でき、小さいスペースでも対応可能なため、トータルで2,000万円前後で開院することもできます。
同じような理由で、心療内科や精神科の診療所も、トータルで2,000万円前後でスタートさせることが可能です。

小児科は、4,000万円から5,000万円といったところ。お子さんや母親が安心するための雰囲気やスペースを確保しようと考えれば、もう少しかかってしまうかもしれません。
外科も、小児科と同様か、もしくはさらに多くの開業資金が必要になってくるでしょう。

開業資金はどうやって調達する?

紹介したように、医師の開業資金は数千万円から、高いと8,000万円を超える額となります。これを全て自己資金で賄うのは現実的ではないでしょう。
では、どのように開業資金を調達・工面すればいいのでしょうか。

一般的な方法は、金融機関などからの融資と、地方自治体などからの補助金及び助成金による調達です。
融資には、例えば日本政策金融公庫から受けるという方法があります。
政府系機関のため安心感もありますし、金額によっては無担保で融資を受けられる点においてもメリットがあります。審査期間が短い点も、多くの開業医に選ばれる理由です。
厚生労働省管轄の福祉医療機構からの貸付も選択肢の一つ。
金利が低いのが特徴で、借入のハードルも低くなるでしょう。

民間の金融機関では、開業医向けの貸付を行っているところがあります。
事業内容によっては条件も緩く借りやすいため、交渉する価値は出てくるはずです。
その他、医療機器のレンタルを行う企業が開業医向けの融資を行っていることもあるので、相談してみるといいでしょう。

また、地方自治体から受けられる補助金や助成金は返済する必要がないため、開業医にとってはまず選択肢に入れておきたい資金調達方法となります。
その他、親族や知人から貸してもらうという方法も考えられなくはないでしょう。

 

勤務医と同じじゃない!開業医に必要なスキルや能力

勤務医と比較する開業医の必要スキルの違い

開業医と勤務医は同じ医師であり、診療内容も自身の専門分野に特化し行うことが多いでしょう。しかし、この両者には必要とするスキルに違いがあります。
共通するスキルも当然ありますが、これから独立し開業することを目指すのであれば、開業医に求められるスキルや能力を身に付けているかを改めて確認するとともに、もしそれが身に付いていないのであれば、開業に向けて身に付けておくことが求められます。

・経営や事業運営に関するスキル
・コミュニケーションのスキル
・特定の診療分野に特化した知識やスキル
・コンサルティングスキル

自らクリニックなどを経営するわけですから、経営スキルや事業運営スキルは欠かすことができません。
これは勤務医ではほとんど必要性を感じないため、開業医ならではの必須能力と言ってもいいでしょう。
ここには、マネジメントスキルやマーケティングスキルも含まれます。
管理能力がなければコスト管理やリスク管理なども行えませんし、マーケティングスキルがなければ集患を効率よく行うことは難しくなるはずです。

コミュニケーションスキルは勤務医であっても必須でしょう。
しかし、開業医はさらにこれが求められることになります。
患者との意思疎通が図れなければ、相手の望む通りの治療が行えませんし、スタッフとのコミュニケーションが上手に図れなければ離職率が高まったり、連携ミスが医療ミスへと繋がるリスクも高まってしまいます。
そのリスクの度合いは、勤務医の比ではありません。

特定の診療分野に特化した知識やスキルを持っていれば、それだけ集患や信頼関係の構築にも繋がります。
集患や信頼関係、開業医はまさにこれらがなければ黒字経営は難しいわけですから、絶対に欠かせない能力となるでしょう。
コンサルティングスキルは、特に自由診療を取り入れるクリニックでは不可欠なものとなるので、診療分野によっては身に付けておきたい能力となります。

開業に必要なスキルを身に着ける方法は?

上で挙げたスキルや能力を身に付けることは容易ではありません。ある程度の時間をかけなければ、習得することはできないでしょう。

開業医に求められるスキルを身に付けるために、すでに開業医として成功している医師の元で働くという方法が考えられます。
規模の大きな病院では得られない知識や技術、スキルが、診療所やクリニックで働くことで見えてくることは少なからずあるはず。
非常勤という形でもいいので複数のクリニックで働き、開業医の働き方や意識といったものを学んでみてもいいのかもしれません。

経営や事業運営に関するスキルは、開業専門のコンサルタントとコンタクトを取ることで習得できることもあります。
淡々と開業準備を進めるだけのコンサルタントもあれば、経営や運営に関するノウハウを提供してくれるコンサルタントもあるため、選択は難しいところですが、正しい選択ができれば、開業医に必要となる経営スキルや経営感覚といったものを身に付けることができるでしょう。

医院経営において意識するポイント

開業医になる際に意識しておかなければならないことは、“経営者となる”という点です。

独立したとしても、医師には変わりありません。
しかし、医師としての意識しか持たないとなれば、きっと成功することはできないでしょう。
散々「経営スキルが重要である」と述べてきましたが、これは、その意識を抱いて準備し展開していかなければ成功することができないからです。

医師としてのプライドは、もちろん持っていなければなりません。
しかし、そこにプラスして、経営者としてのプライドも持っておく必要があります。
もしその意識が薄いのであれば、それが濃く強くなるまでは開業を控えるという考え方も持っておくべきです。

医師としての意識と経営者としての意識、どちらも高めることが、医院経営において重要なポイントとなることを認識しておいてください。

医院開業を成功させるには

医院開業における成功の定義は?

診療所あるいはクリニックという形で自ら開業する医師にとって重要な「医院開業における成功の定義」とはどのようなものなのでしょうか。

医師によって感覚的、あるいは具体的な目標の違いはあるでしょう。
ただ、医院を開業した医師にとって成功か否かを判別する一定のラインがあるとすれば、「ある程度の年数継続して黒字経営していること」、となるはずです。

初年度から黒字化するのは難しいかもしれません。
集患にも時間がかかるでしょう。借入金の返済もしなければなりませんから、数年間は赤字経営が続く可能性が高いです。
しかし、その後黒字化し、安定的に継続させることができれば、そこで初めて「成功した」と認識することができると一般には言われています。

 

開業を成功させるためのポイントは5つ

何も考えずにスタートさせて成功するほど、医師の開業は甘くはありません。
戦略性も非常に重要であり、そのために必要なポイントも1つや2つではないのです。

・患者を中心とした客観的視点を取り入れること
・ターゲットを絞った上で診療内容や場所を決定すること
・最初から診療項目や機器導入の幅を広げ過ぎないこと
・医院のイメージも集患や売上に直結すると理解すること
・スタッフの採用基準を明確にしておくこと

医師が開業を成功させるために必要なポイントを5つ挙げました。
どのような分野で独立するにしても、必ず必要になるポイントです。

客観的視点を取り入れる、これは欠かせないでしょう。
自らの価値観を全てだという思い込みは、失敗する医師の典型的な考え方。あくまでも、患者中心の医療施設を作らなければいけません。
ターゲットを絞ることも、それに通じるところがありますが、多くの患者を集めようと焦点を広げ過ぎるのは危険。
診療項目や機器導入と関連付けて言えば、それらの拡大は後からでもできるため、まずは狭く深い関係を患者を築くことを意識するべきでしょう。

イメージというのは、外観、内装、そして医師やスタッフの態度などのこと。これらが良くなければ、いくら技術を持っていても患者は離れていきます。
最後のスタッフの採用基準とも繋がりますが、医療施設であっても、患者は“人”に集まってくることを認識しておかなければ成功することはないのです。

開業を成功させるために今から準備しておくこと

行き当たりばったりでは、成功することは難しくなるでしょう。成功するには理由があります。それを探る作業を、今から行っておいてください。

具体的なイメージを膨らませることが重要です。

・どのような収支でいつまでの黒字化を目指すのか
・どのような患者を対象にどのような診療を提供するのか
・開業までのスケジュールの詳細

これらのことをイメージしておくと、より成功するために必要なことが見えてくるはずです。

収支計画書や経営・事業計画書の中身がしっかりとしたものであれば、融資も受けやすくなるでしょう。
融資が受けられれば必要な機材などの導入や内装工事などにもお金をかけられるため、よりターゲット層に満足してもらえる体制を整えることができます。
当然、成功へと繋がることになるわけです。
ターゲット層や診療内容も明確化すれば、より事業計画も立てやすくなるはず。
そして、開業までのスケジュールを細かく考えておくことで、いつまでに何を準備する必要があるのかも見えてきます。

イメージを膨らませたら、紙やパソコン上のメモなどに具体的に書き残し、必要に応じてまとめておくこと。
こうした作業から、徐々に開業へ向けた、そして成功へ向けた準備が始まっていくのです。

医院経営で失敗しない方法、開業医の実際の失敗事例

医院・クリニックの開業におけるリスク

失敗することをイメージして医院経営に乗り出す医師などいないでしょう。
しかし、自らの医院やクリニックを開業し経営することには、少なからずリスクが伴います。

・集患が思うようにいかず経営難へと陥るリスク
・医療ミスや評判の悪化で閉院へと追い込まれるリスク
・看護師など従業員とのトラブルが発生するリスク
・医療訴訟へと発展した際に責任を負わなければならないリスク

リスクの度合いは考えずに提示していますが、上記のものが、医師が自身の医院やクリニックを持った際に考えられるリスクの代表例です。
この中で最も直面しやすいのは、経営難へと陥るリスクでしょう。
医療技術と経営手腕との関係はイコールではありません。共通する点はほとんどなく、全く別の能力が必要になると認識しておく必要があります。

また、いくら腕に自信があり適切な診療を行っていたとしても、謂れもないクレームや悪評を流布されることにより、閉院へと追い込まれるケースも少なくありません。
そのようなリスクも頭に入れておくべきでしょう。

開業医の実際の失敗例

内科の診療所を開業した40代のある医師は、住宅も人通りもそれなりにあり、自身の標榜する科目は内科であることから需要もあるだろうと、あまり下調べを入念にせず、また、賃料も安いからという理由で開業へと踏み切りました。
しかし、いざ開院しても、患者は一向に訪れません。
チラシを作成したり広告を打つなどし集患にもコストをかけアピールしたものの、やはり思うように患者は集まらず、赤字状態が続いていました。

その医師はインターネットで自身の診療所の評判等を調べましたが、患者が少ないため、特に評価をアップしている人はいませんでした。
しかし、その周辺には多くの内科診療所が存在していることを、そこで初めて認識。
すでにそのエリアの住人が通っている診療所が複数あったため、その医師の元へは患者が集まらなかったのです。
結局、一度も黒字化しなかったため、別の場所へと移ることになったその医師。

いくら腕に自信があっても、入念な下調べ無しに患者を集めたり信頼を得ることはできないという事例です。

 

医院開業のために今からできる対策4つ

開業を目指す医師が、今から意識・実践しておきたい対策を4つほど紹介していきましょう。

・診療方針や経営計画の詳細を策定する
・自己資金ではなく融資や借入を検討する
・税理士や開業コンサルタントを選定する
・開院予定地の入念なリサーチを行う

診療方針や経営計画なくして、開業医が成功することはありません。
ここはいい加減にせず、丁寧に且つ詳細に組み立てていくようにしてください。
また、自己資金のみでの開業や、その割合を多くすることはあまりお勧めできません。
よほどの余裕があれば別ですが、もし赤字経営が続いた場合でも生活費が確保できるよう、できれば金融機関からの融資や借入で開業することを目指しましょう。
そのための準備を早い段階でしておくことが重要です。

税理士や開業コンサルタントなど、プロの意見を取り入れることも重要です。
失敗を防ぐには医療とは異なる知識を有している必要があるため、依頼費用はかかりますが成功のためのコストと考え、プロへと依頼することが求められるでしょう。
そして、もちろん開院予定地の下調べも怠ることができません。
雰囲気がいいからという理由や所縁の地であるという理由のみで決めるのは避けたいところ。集患ができ経営的にも安定するという根拠がなければ、その地を選ぶことはできません。
時間をかけたリサーチが必要となるため、今からこれを行っておくことをお勧めします。